グリシン glycine は,NH2-CH2-COOH で表されるアミノ酸 amino acid で,タンパク質を構成する 20 種類のアミノ酸のなかで最も単純な構造をもつ。
pK1 (COOH) = 2.4
pK2 (NH3+) = 9.8
> ホタテやクルマエビの甘味の原因成分である(1)。
> 絹タンパク質には Gly が多く含まれており,加水分解すると甘味料になる(1)。
グリシンは,統合失調症 schizophrenia,脳梗塞 stroke,benign prostatic hyperplasia などの治療に用いられることもある。また,腎臓や肝臓を薬の副作用から守るためにも有効とされている。怪我の治療にも効果がある。
> 脳幹の蝸牛神経核や脊髄に存在する(1)。
> GABA のように抑制性に働くほか,NMDA 受容体に作用してグルタミン酸の作用を増強する(1)。
> ヒト成体の大脳皮質には,0.4 - 1.0 µmol/g の濃度で存在する(2)。
> 記憶力の向上,がんの予防にも繋がるという主張もある。
> クロザピン clozapine の効果を弱めるという相互作用が報告されている。
> 統合失調症の治療には,0.4 - 0.8 g/kg での服用が望ましい。