リポタンパク質 lipoprotein とは脂質 lipid とタンパク質 protein の複合体で,一般には血液を介して脂質の輸送を行うタンパク質をいう。
動脈硬化のリスク因子として有名な 悪玉コレステロール は,LDL というリポタンパク質に含まれるコレステロール cholesterol のことである。これについては LDL-cholesterol のページでまとめることにする。
英語版 Wikipedia より。
哺乳類のリポタンパク質は,密度の低い方から
に分けられている。それぞれの特徴は以下の表の通りである(1)。
種類 | 密度 (g/ml) | 直径 (nm) | Apolipoprotein | 機能 | 組成 | ||||
TG | CE | C | PL | P | |||||
CM | < 0.95 | 75-1200 | B48, C, E | Dietary fat transport | 86 | 3 | 1 | 8 | 2 |
VLDL | 0.95-1.006 | 30-80 | B100, C, E | Endogenous fat transport | 52 | 14 | 7 | 18 | 8 |
IDL | 1.006-1.019 | 15-35 | B100, E | LDL precursor | 38 | 30 | 8 | 23 | 11 |
LDL | 1.019-1.063 | 18-25 | B100 | Cholesterol transport | 10 | 38 | 8 | 22 | 21 |
HDL | 1.063-1.21 | 7.5-20 | A | Reverse cholesterol transport | 5 | 14 | 3 | 19 | 33 |
文献 1 から転載。HDL の組成には幅があり,ここでは最も低い値を載せている。TG, トリアシルグリセロール; CE, コレステリルエステル; C, 遊離コレステロール; PL, リン脂質; P, タンパク質である。
TG や CE は比重が 1.0 より小さい(水よりも軽い)。そのため,これらを多く含んでいるリポタンパク質ほど,全体の比重も小さいことになる。
超遠心 ultracentrifuge は,伝統的なリポタンパク質の分離法である。上の表に示された比重に従って血清成分を分離していくために,比重液の重層 -> 超遠心 -> 次の比重液の重層 -> 超遠心・・・ を繰り返していく。
日立工機のサイト(4)にとてもわかりやすい説明があったので,図を 1 枚だけ転載させて頂く。詳細は 4 のサイトを参照のこと。
大量の血清,超遠心装置,時間,技術が必要で,臨床的な使用は難しい。また,リポタンパク質の密度は生物によって違っているので,単純にこの密度で分離してしまうことの問題点も指摘されている。
Berg ed. 2006a (Book). Biochemistry, chapter 16. W.H. Freeman and Company, NY.