4-11-2017 Last update
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トリアシルグリセロール TAG は,右図(文献 1 より引用)のように 1 分子のグリセロール glycerol(水色の部分)に 3 分子の脂肪酸 fatty acid がエステル結合した分子である。
英語での発音は普通の辞書には載っていないが,glycerol [glis(ə)rɑl] と triglyceride [trɑiglisərɑid] の発音から推察すると,トリは 「トライ」 と読み,gli の部分にアクセントが来ると思われる。
TAG はエネルギーの貯蔵物質であり,およそ 38 kJ/g (9 kcal/g) のエネルギーをもっている(4)。これは炭水化物やタンパク質の 17 kJ/g よりもかなり多い。その理由は,
である。
TAG は最大 3 種類の脂肪酸を含むことができるので,脂肪酸の種類や結合部位によって数多くの異性体が存在しうる。
TAG のグリセロール骨格には,両端の 2 つの 1 級炭素と,中央の 1 つの 2 級炭素がある(有機化合物命名法 炭素の級)。これらをそれぞれ α 位,β 位という。R1, R2, R3 の種類(エステル化される脂肪酸の種類)によって,様々な異性体のパターンが生じる。
R1, R2, R3 が同じ場合
R1, R2, R3 のうち2つが同じ場合
R1, R2, R3 が全て異なる場合
この場合には,2 つの α 位を区別する必要が生じる。(A, B, C) と (C, B, A) は互いに鏡像異性体であり,3 つの炭素は sn-1, sn-2, sn-3 として区別される。
TAG は,fatty acid CoA とグリセロール-3-リン酸から作られる。これらの基質の供給源には,以下のように複数の経路が知られている。
Fatty acid CoA
グリセロール-3-リン酸
TAG 生合成の最終段階(脂肪酸のエステル化)は,小胞体 endoplasmic reticulum で行われる(下図,文献2より転載)。これは,TAGの細胞内貯蔵器官である油滴 lipid droplet が小胞体に由来することとよく一致する。概要は以下の通り。