有意差が得られなかったときの英語表現

2019/01/13 Last update

 

このページは 英語論文: 統計に関連した表現の文例集 @本家UBサイト に恒久的に移転しました。このページもネット上に残っていますが、最新の情報はリンク先を参照して下さい。

 


  1. はじめに: 統計検定の意味
  2. 文例集

各セクションの書き方の基本

  1. Title の付け方
  2. オーサーシップについて
  3. Abstract の書き方
  4. Introduction の書き方
  5. Materials & Methods の書き方
  6. Results の書き方
  7. Discussion の書き方

 

Tips と特別な表現



はじめに: 統計検定の意味

統計検定は生物学実験につきものであり,有意差が欲しいところにつかなくて困ることがよくある。また,「何とか有意差がほしい」とか,「ここはちょっと都合が悪いけど,有意でないからあまり触れずにおこう」という気分になるのも,実験の結果をまとめる段階ではよくあることである。

 

しかし,統計の原則に立ち戻って考えると,以下の点を改めて意識する必要がある。*をつけることができたからといって,鬼の首をとったような態度で結果を解釈してはいけない。

 

  • 「有意差がない」の意味するところは「影響がない」ではなく,「影響がない,または(サンプル数が少ない,ばらつきが大きいなどの理由で)影響を検出できないのいずれか」である
  • 「有意差がある」 は,たかだか 95% または 99% の有意水準での議論である。
  • 「有意差がある」 は,「生物学的に意味のある差である」 ことを保証しない。
  • そもそも,そのデータに統計検定をかけるべきなのかどうかという問題もある。

 

このページでは,統計の結果にを説明する英語表現を,残念ながら有意差が得られなかった場合にもちょっと自己主張したいときを中心に記録しておく。このあたりは,ちょっとした言葉の使い方で,統計の意味を理解しているかどうかわかってしまうので注意したい。



文例集

差の有無に関する表現

  • This result implies that postsynaptic activity blockade has limited effect on the pattern of presynaptic callosal axon innervation.

 Mizuno et al. 2007a. J Neurosci 27, 6760-6770.  

 
普通の場合は,has no effect とは言えない。no effect was observed のような言い方なら,我々が観察できなかっただけで,効果がないとは断言していないので間違いではない。ただし,文の前半に imply とか suggest が入っているなら OK だろう。

実際の P 値を載せて,惜しかったことを強調する。

  • Furthermore, testing for a common correlation for the two diagnostic groups approached significance (P = 0.09), suggesting a difference in correlation.

Dorph-Petersen et al. 2007a. J Comp Neurol 501, 290-301.

 

 

  • When the two-way ANOVA was applied on values for the latency to reach the platform during the learning phase it revealed a statistically significant influence of the factor Days (F(4,80) = 29.27, p < 0.001) and interaction between Treatment × Days (F(12,80) = 2.42, p = 0.010), while the factor Treatment was close to significance (F(3,20) = 3.04, p = 0.053).

Timic et al. 2013a. Behav Brain Res 241, 198-205.

差があったことを先に言ってしまう。

  • The mean activity of the red muscle was considerably lower in the starved fish, though the difference was not statistically significant.

Black & Skinner 1986a. J Comp Physiol B 156, 497-502.

トレンドがあったと言う。

  • Apart from the improved reversal learning performance, the mGlu5 PAM did not significantly affect performance of the extra-dimensional shift, although the deficit there was comparable to that of reversal learning. There was however a trend for improvement consistent with the downregulation of mGlu5 receptors observed in the mPFC, which is more implicated in set-shifting performance than the OFC.

Gastambide et al. 2012a. Neuropsychopharmacology 37, 1057-1066.


サンプル数が十分でなく,statistical power が弱い

  • Given the lower numbers of subjects exposed to these drugs however, this may be attributable to a lack of power.

Welch et al. 2011a. Schizophr Bull 37, 1066-1076.


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References