査読関連
論文の書き方
Tips と特別な表現
科学上の「発見」は,以下のような「査読システム」を経て検証されるような仕組みが出来上がっている。このページでは,主に医学・生物学関係の査読の状況をまとめる。
査読システムには,以下のようなメリット,デメリットが指摘されている。
出版物のクオリティが,査読によりある程度保証される。
査読付きの論文として出版されているということは,著者のほかに複数の人間が「この論文の内容は妥当である」と判断したことを意味する。著者の独りよがりでないことの証明になる。
査読コメントを通じて,論文を改善することができる。
査読された論文が perfect! という評価を受けてそのまま出版されることはほとんどなく,通常は査読者のコメントに応じた内容の変更が求められる。この過程を経ることで,論文の中身も改善されることが期待される。
出版に時間がかかる。
査読にかかる時間は,しばしば科学者を絶望させるほどに長く,数年にわたる場合もある。その結果,「数年の間に論文は確かに改善されたが,major conclusion はとくに変わらない」ということが起こり(4),卒業,研究費の取得など,様々な点に悪影響がある。
物理や数学などの分野では,論文を仕上げたら簡単な審査のもとに arXiv(アーカイブ)と呼ばれるサイトにプレプリント として公開することが可能で,医学・生物学においても同様のシステムを確立することが提唱されている。
出版社が暴利を貪っている。
多くの場合,編集者および査読者は大学などに所属する研究者であり,無償で 働いている。しかし,その結果出来上がる論文は有償で研究者に提供される。論文を購入する費用は年々上がっており,とくに大学の経費を圧迫している(ニュース,ブログなど)。この問題に対して,以下のような方法がある。
論文の価値が,数人の査読者,編集者の判断によって(世間的に)左右されてしまう。
他人の目が入ると言っても,たかだか数人の意見であり,また実際の判断にはさまざまな思惑が絡むこともあるので,必ずしもいつも客観的で公平な判断が下されるとは言えない。しかし,論文の質は掲載誌のランク (impact factor) で判断されてしまうことが多く,「政治的なゴリ押し」が幅を利かせる状況が生まれている。
PLoS ONE を皮切りに,「内容に科学的な問題がなければ全て掲載」「論文の価値は,掲載後に判断」という理念を謳った雑誌が生まれている(Scientific Reports など)。インターネット時代の新しい科学の方法論として期待が集まっている。
F1000 もその一つである。
以下の査読関連ページも参考にして下さい。
査読の文章を書く際には,以下のようなフォーマットが使われることが多い。しかし,依然として "Well written. Suitable for publication." のような短いコメントも使われているし,項目を分けずに 1, 2 パラグラフで意見を述べる査読者も多い。
1. 論文の内容を簡単にまとめる
まず,自分が論文をちゃんと読み,その内容を理解したことを示すために,論文の内容を 自分の言葉で 簡単にまとめる。Abstract や conclusion の内容と重複することになるが,丸写しは避けたいところである。
2. Major comments
論文に関する全体的な意見を述べる。General comments と Specific comments に分ける場合もある。個人的には,editor がやりにくくならないように,はっきりと accept や reject と書かない方が良いように思う。
3. Minor comments
論文の特定の部分に関する意見を述べる。英語のミスの指摘,図の形式など。
文献 2 より。
著者がXやYを試さなかったことは「研究の限界 (limitations)」 に関わる部分です。論文で報告された研究が「明らかにしたこと」と「明らかにしなかったこと」との境界が分かるような査読レポートは、エディターにとって最もありがたいと Threlfall 氏は言います。その意味で同氏は、査読者が研究の限界について著者に質問し、必要ならデータを要求することを奨励しますが、同時に報告された成果とのバランスを考慮し、著者への要求が行き過ぎないよう自制を求めています。
一方、データと結論が合っていない、あるいは実験結果の間に矛盾があるといった「不一致 (inconsistencies)」 はそれと性質の異なる問題です。こちらについては、査読者は納得がいくまで追求して構いません。
Reviewer がどの程度スタイルや英語に関してコメントをすべきかについては,様々な考え方がある。個人的には,英語は上手いに超したことはないが,poor English がリジェクトの理由になるべきではない と考えている。本質的に論文の科学的価値とは無関係であり,英語やスタイルの修正は査読者ではなくむしろ出版社の仕事であると思うからである。
実際には,間違いを一つずつ細かく指摘する Reviewer もいれば,"Writing is poor" で済ませる Reviewer もいる。
Tatum Landry (水曜日, 21 12月 2016 19:01)
Sed voluptate nesciunt, est, et enim provident, dolorum suscipit veniam, dolor ad consequat. Omnis quas voluptatem.