4-27-2015 updated
Y-maze test は,同じ大きさの3本のアーム(仮にA, B, C とする)が 120˚ で連結された装置を使って行う行動試験である。げっ歯類の例がほとんどであるが,ゼブラフィッシュでの使用例も報告されている。
文献 4 の図の一部。
自発行動 spontaneous locomotor activity は,アームへの総進入回数から求めることができる。上記の例だと 5 である。最初の A は,マウスを人為的に置いたときの A なので,進入回数には含めない。
> Spontaneous locomotor activity は,統合失調症 schizhphrenia の陽性症状の指標である。
: 一般に陽性症状は幻覚,幻聴などを指すが,動物モデルではこれらが生じているかわからない。
: そこで,spontaneous locomotor activity を用いて評価するのが一般的である。
: 統合失調症の動物ではこれが増大し,「落ち着きのない行動」と判断される。
3 回連続して異なるアームへ進入した回数をアームへの総進入回数から 1 を引いた値で除した後,100 を乗することで,空間作業記憶 spatial working memory の指標となる値求めることができる(1)。この値を交替反応 alternation という。
上記の例だと,A -> B -> C -> A -> B -> C のように,赤字で示した部分を数えて3回ということになる。したがって
Alterations (%) = 3/(5-1) * 100 = 75%
マウスは,餌を探すために基本的に異なるアームに入ろうとする。つまり,この値が高いほど,前に入ったアームがどこだったかを覚えている,すなわち短期記憶力が優れていることになる。
一定のインターバルをおいてテストをすることで,空間認識能力 spatial recognition を調べることができる。以下は,Hazane et al (ref. 2) の説明である。Dellu et al. (1997), Lena et al (1999) などを参考にしている。
右の図は,文献 4 で行われた Y-maze test の結果を示した図である。
論文の legend は以下。
Figure 1. Dopamine depletion modifies the encoding of decision process and reward location in CA3 (adapted form Retailleau et al., 2013). (A) In a baited Y-maze, the rat has to choose one of the
arms where the reward is located. Rat with a 6-OHDA lesion in the right medial forebrain bundle had difficulties to find the reward when it is in the right arm as it is shown by its low ratio of
good choice (i.e., the baited arm)/the number of exploration. We correlated the behavior in the maze with population responses in the right CA3 (A, right). The time spent by the animal in the
decision zone (B) is correlated with the population firing rate of CA3 neurons of Sham, but not 6-OHDA rats (C). The ratio of good choice/total number of exploration is correlated with the
population firing rate of CA3 neurons of Sham, but not 6-OHDA rats (E) when the animal is in the reward location (D).
Hazane et al. 2009a. Behavioral perturbations after prenatal neurogenesis disturbance in female rat. Neurotox Res 15, 311-320.