4-14-2014 updated
脳 brain はヒトの体重の2%を占めるに過ぎないが,心臓から送り出される血液の15%以上を使っているとされる(4)。さらに重要なことに,脳に入った血液は単に血管を辿って流れるのではなく,神経 neuron が活動して酸素が必要となった部位に選択的に流れていく。したがって,脳内の血液の流れや分布を知ることで,活動している部分を推定することができる。これが脳の血流を調べることが大切な理由であり,fMRI の基本となる考え方である。
CBF(cerebral blood flow)は単位時間あたりに大脳組織中を流れる血液の量で,単位は mL/100 g/minなど。
CBV(cerebral blood flow)は大脳皮質中に存在する血液の量で,単位は mL/100 g。
血液の流れの速さを MTT (s) とすると,
CBV = CBF * MTT
の関係が成り立つ。CBF,CBVは機能的MRI(fMRI)の重要な項目の一つで,MRIデータからこれらを計算する方法についてたくさんのモデルがある。
> 麻酔されたラットの脳では,CBFは1.3 mL/min/g である(3)。
もともとはGrubb (1974) の式。文献1の総説より引用。
麻酔状態の rhesus monkey では,α=0.38であった。最も広く用いられている関係式であるが,この式の正確性は α の値には疑問が呈されている(1)。
Researcher
造影剤を用いずに,体内の水を磁気ラベルして非侵襲的に脳の灌流画像を得る方法。BOLDに比べると感度もS/N比も劣る(1)。
赤血球の動きを,レーザー光のドップラー効果によって測定する方法。相対速度しか算出できない。解像度は用いるプローブの種類による。
Photon diffusion theory により,ヘモグロビン(Hb)の濃度を測定することができる(2I)。単位量あたりの血液に含まれる Hb 量が変わらない場合,全 Hb 量がCBFを示すことになる。
CBVの変化を測定する。時間解像度が低いため,限られた回数しか測定できない(1)。
> 一般に,老化によって低下する(2D)。