関連項目
ホモ接合の期待値は 「各 allele の割合の 2 乗」を全ての allele について合計する ことで算出できる。以下に例を示す。
> ある遺伝子座において,A および B の 2 つの対立遺伝子 allele があるとする。
> このとき,可能な遺伝子型は AA, AB, BB の 3 通りである。
: 両親のもっていた遺伝子も A と B という前提なので,AB と BA は同じ遺伝子型である。
> AA および BB がホモ接合,AB がヘテロ接合。
> 集団における A と B の割合が 0.5 : 0.5 の場合,メンデルの法則っぽく AA:AB:BB = 1:2:1。
> したがってホモ接合である期待値は0.5であると言える。
> 一方,A の割合が 0.5 であるから,AA となる期待値は 0.5 x 0.5=0.25 である。
> 同様に,BB となる期待値も 0.5 x 0.5=0.25 である。
> このことからも,ホモ接合である期待値は両者の和で0.5になる。
> したがって「各 allele の割合の 2 乗」を全ての allele について合計するとホモ接合の期待値が計算できる。
> ある遺伝子座において,A,B および C の3つの対立遺伝子 allele があるとする。
> このとき,可能な遺伝子型は AA, AB, AC, BB, BC, CC の 6 通りである。
> AA, BB, CC がホモ接合,AB, AC, BC がヘテロ接合。
> 集団内の頻度が A:B:C = 0.7:0.2:0.1 とする。
> ホモ接合の期待値は,0.49 + 0.04 + 0.01 = 0.54 と計算される。
> ホモ接合以外の個体は全てヘテロ接合なので,ヘテロ接合の期待値 = 1-(ホモ接合の期待値)となる。
> ヘテロ接合の期待値を expected heterozygosity (He) という。
> He は遺伝的多様性の指標で,大きいほど集団の多様性が高い。
> 実験的に得られたヘテロ接合度は,observed heterozygosity (Ho) である。
> He と Ho の値のずれを調べることで,近親交配の程度を評価できる(近交係数, Wikipedia)。
> PCR で MS 領域を増幅する際,プライマー結合領域に増幅が起こらないような変異が入ることがある。
> この場合,そのアリルは検出されずに null allele となる。
> Null allele と通常のアリルがヘテロ接合している場合、見かけ上はホモ接合として検出される。
> したがって,null allele の存在は Ho と He の値が異なる原因の一つとして挙げられる。
> ある個体のある遺伝子座が,共通祖先に由来する対立遺伝子のホモ接合になっている確率。