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Acetate 酢酸
CH3COOHの構造をもつカルボン酸。様々な生体成分を合成する際の骨格になり,酢酸としても体内に存在することが確認されている。
GABA, γ-アミノ酪酸, gamma-aminobutyric acid
抑制性の神経伝達物質。グルタミン酸 Glu から合成される。ヒトの脳脊髄液中では,GABA の大部分はフリーでなくホモカルノシンや PRDN として存在する。
GHB, γ-ヒドロキシ酪酸,4-ヒドロキシ酪酸, gamma-hydroxybutyrate
GABAのアミノ基 -NH2 がヒドロキシ基 -OH に置換した物質。麻酔薬として開発された医薬品だが,日本では平成13年に麻薬指定された。生体内でもGABAの誘導体として脳内で作られる。
Lactate, 乳酸
嫌気的解糖によって生じるピルビン酸が嫌気代謝されることなどにより生じる。低酸素状態のマーカーとして使われる。糖新生によってグルコースに戻る。
Nicotinic acid, ニコチン酸
ピリジンにカルボキシ基 COOH がついた化合物。
Pyruvate, ピルビン酸
グルコース glucose から解糖 glycolysis によって作られる。好気的条件下ではアセチルCoA へと代謝されてTCA回路 に入り,嫌気的条件下では乳酸になるという代謝が有名である。
Benzoic acid, 安息香酸
ベンゼン環にカルボキシ基 -COOH がついた化合物で,ナトリウム塩は食品の保存料としてよく使われている。
アセト酢酸 acetoacetate
生体内では,2分子のアセチルCoAから作られる。脂肪酸の代謝が活発なときに大量に合成される。
β-hydroxybutyrate, BHB, β-ヒドロキシ酪酸
非エステル化脂肪酸 NEFA の代謝によって生じるケトン体の一つ。ヒトでは肝臓でアセチルCoAから合成され,グルコースが少ないときに脳でのエネルギー源となる。
NAD+, NADH (Nicotinamide adenine dinucleotide) ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
生体内では,有機物同士で電子を受け渡す反応(酸化還元反応)がよく行われるが,その反応に関わる電子伝達体である。
NADP+, NADPH (Nicotinamide adenine dinucleotide phosphate) ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
NAD+や NADH がリン酸化されたもの。機能は NAD+ および NADH とよく似ており,酸化還元反応に関わる電子伝達体である。NADPH の主要な供給源はペントースリン酸回路。NADPH を必要とする経路は,脂肪酸合成,コレステロール合成,神経伝達物質の合成,塩基合成,グルタチオンの還元,チトクローム P450 の反応である(Berg, Biochemistry)。
Coenzyme A, CoA, 補酵素A
TCA回路,β酸化など様々な反応に関わる補酵素。アシル基を輸送するときにとりあえず結合させとくもの(キャリアー)。
Ethanol エタノール
CH3CH2OH の構造をもつアルコール。酒類の主成分であるため,酒精とも呼ばれる。
Glycerol, グリセロール
示性式 CH2OH-CH(OH)-CH2OH で表されるアルコール。3 つの OH 基が脂肪酸とエステル結合したトリアシルグリセロール TG は,代表的な貯蔵脂質である。
Allyl alcohol, アリルアルコール
アリル基をもつ不飽和アルコール。アリル基 -CH2CH=CH2 は IUPAC名では 2-プロペニル (2-propenyl) 基と呼ばれる。毒物であり,皮膚や粘膜に炎症を起こす。
アミン amine とは,アンモニア NH3 およびその水素原子を炭化水素基で置換した化合物の総称である。
Ammonia, アンモニア, NH3
タンパク質が代謝された結果生じる物質の一つで,毒性を示す。水によく溶けるため,アンモニアまたは誘導体の形で尿として排出される。常温では特有の刺激臭を示す無色・可燃性の気体である。
TMA, trimethylamine, トリメチルアミン
アンモニアの水素原子が全てメチル基に置換された N(CH3)3 である。酸化物 TMAO も同じページに記載。魚が腐敗したときの臭いの原因の一つ。
5-MeO-DMT, 5-methyl-N,N-dimethyltryptamine
アマゾンに自生する植物アヤワスカ Ayahuasca に含まれる幻覚成分。セロトニン受容体 5-HT2A-R のアゴニストである(Riga, 2014a)。ラット mPFC の脳波 low frequency oscillation,mPFC および visual cortex の BOLD signal を低下させる(Riga, 2014a)。
アルカロイド alkaloid とは,窒素原子を含み,基本的に塩基性を示す天然有機化合物の総称である。似た構造をもつ合成化合物も含むこともある。
Batrachotoxinin バトラコトキシン
カエルから単離された,神経毒性をもつステロイドアルカロイドの一種。類縁化合物 batrachotoxinin A20-α benzoate(BTX-B)は,電位依存性ナトリウムチャネル VGSC のブロッカーを探す際の競合実験に使われている。
Physostigmine, フィゾスチグミン
コリンエステラーゼを阻害し,副交感神経を興奮させる作用を示すアルカロイド。
Dopamine ドーパミン
中枢神経系に存在する神経伝達物質で,アドレナリンおよびノルアドレナリンの前駆体でもある。記憶,情動に大きな役割を果たし,快感や多幸感を与える作用がある。食欲や薬物依存性にも関係している。
Noradrenaline (norepinephrine), ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)
ノルアドレナリン作動性ニューロンから分泌される神経伝達物質であるとともに,副腎から血液に放出されるホルモンでもある。心拍数の増加,脂肪分解などを通じて,闘争あるいは逃避反応を引き起こす。
Adrenaline, adrenaline, アドレナリン(エピネフリン)
Acetylcholine (ACh), アセチルコリン
1914年に発見された最初の神経伝達物質。主に副交感神経,脊髄運動神経で働く。中枢では意識,記憶,睡眠などと関係が深く,とくに尾状核や被核には高濃度で存在する。アルツハイマー病患者の脳で不足することも知られている。脳 brain に投与するとEEGが変動し手足が痙攣する。
Malonaldehyde, malondialdehyde, マロンアルデヒド,マロンジアルデヒド
CHO-CH2-CHO の構造をもつアルデヒド。シス型とトランス型があり,生体内ではケト-エノールの平衡状態にある。酸化ストレス oxidative stress の指標。
クレアチン Creatine, Cr
ATP のリザーバーになる分子で,脳,筋肉および血液に分布する。合成は肝臓および腎臓で行われる。
解糖 Glycolysis
グルコース glucose をピルビン酸 pyruvate まで分解する一連の過程をいう。2 分子の ATP が生み出される。反応は細胞質で行われ,酸素を必要としない。
TCAサイクル The citric acid cycle
解糖系などによって作られるアセチル CoA 等を酸化しつつ,効率よくNADHやFADH2を生み出すための生化学反応経路。反応系はミトコンドリアマトリックス(内膜に囲まれた部分)に存在する。クエン酸回路,トリカルボン酸回路,クレブス回路などとも呼ばれる。
NADHは,ミトコンドリア内膜に存在する電子伝達系で1個の水素イオンH+,2個の電子 e-,1個のNAD+になる。このH+がATP合成酵素によるのATP合成に使われる。
Lipolysis 脂質分解
脂肪組織や肝臓に貯えられた中性脂肪,トリアシルグリセロール TAG を部分的に分解し,血液中に放出する反応。分解といっても, β 酸化のようにエネルギーを取り出す反応ではないので注意すること。放出までを合わせて脂質動員 lipid mobilization という。
β-oxidation 脂肪酸の β 酸化
脂肪酸を酸化してアシルCoAを取り出し,そこからアセチルCoAを合成する代謝経路。生じたアセチルCoA はTCA回路へ送られエネルギー源となる。