アンモニア ammonia (NH3) は右のような構造(4)をもつアミン amine の一種である。
以下のような特徴がある(5)。
アンモニアの構造。アミンはアンモニアの H を炭化水素基 R で置換した化合物の総称であるが,アンモニア自身もアミンに含める。
アンモニアに毒性を示すメカニズムは複雑であり,少なくとも下記のものがある。
> NH4+ から水素イオンが生じ,これが細胞内 pH を低下させる(1D)。
> 活性酸素 を発生させる(1D)。
> NH4+ から作られるグルタミンが増えすぎて,浸透圧で脳に悪影響を及ぼす(3)。
アンモニアは,窒素の代謝産物として生体内に存在し,通常は尿素に変換されて尿として排出される。ラットでは,血中アンモニア濃度は 0.05 mM 程度である(2R)。
> 酢酸アンモニウム投与により血中濃度を0.35 mMにして,脳でのグルタミン合成量などを調べた論文(2R)。
: グルタミン酸 + NH3 -> グルタミン という反応の速度が約2倍に増大した。解毒反応と思われる。
: 麻酔されたラットの脳の血流 CBF が1.3 mL/min/g とすると,脳へのNH3流入は0.02 mol/min/g。