解糖系の進化

2020/09/03 Last update

 

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  1. 解糖系の起源
  2. なぜグルコースが主要な糖なのか

解糖系の起源

解糖系が酸素を必要としないのは,大気中の酸素濃度が増える前に生まれた経路だからと考えられる(1)。酸素が増え始めたのは約 20 億年前なので,解糖系の起源は少なくともそれ以前に遡るだろう。その他,文献 1 から関連する項目を記録しておく。

 

  • 解糖系の酵素は,機能が似ているものでもアミノ酸配列は似ておらず,互いに相同ではないと考えられる。
  • 解糖系は,前半の C6 の分解に関わる経路と,後半の C3 の分解に関わる経路に分けて考えることができる。
  • 前半の酵素は,いくつかの生物種では欠損しているものがあり,archaea では完全にないものもある。
  • しかし,後半の酵素は全ての生物に存在し,さらに後半は解糖と糖新生の共通経路である。ここが解糖の最も古い経路であり,前半部分はのちに付加されたものと考えられる。
  • この部分では,RNA の材料となるトリオースを生成する。RNA world 仮説を支持している?

 


酵母の解糖系(2)。グリセロール glycerol およびエタノール ethanol 産生を中心に。


なぜグルコースが主要な糖なのか

以下の 2 つの理由が考えられている(1)。

 

  1. グルコースはホルムアルデヒドから非生物的に作られる。解糖系が進化した頃,量的に多かったことが推察される。
  2. グルコースは他の単糖に比べて環状化しやすく,ゆえに非酵素的にタンパク質に結合する傾向が低い。

References

  1. Berg et al. Biochemistry: 使っているのは 6 版ですが 7 版を紹介しています。
  2. Wei et al. 2009a. Tor1/Sch9-regulated carbon source substitution is as effective as calorie restriction in life span extension. PLoS Genet 5, e1000467.