活性酸素種 ROS とは反応性の高い酸素を含む分子のことで,生体内では以下のような物質を含む。
> ミトコンドリアで消費される酸素の 0.1 - 5% が活性酸素になると考えられている(2)。
> アンモニアが水生植物で ROS を発生させることが,抗酸化酵素の発現が上がることから示唆されている(1)。
: 0 - 30 mg/L の濃度のアンモニアに曝露。カタラーゼ,グルタチオンペルオキシダーゼなど。
: このほか,オゾン,塩分,乾き,熱,重金属,有機毒物などでもROSが産生される。
: 植物では,光合成の副産物として ROS が発生する。
ROS は生体内の様々な物質と反応し,細胞の機能を阻害するが,とくに問題となるのは 反応がさらに ROS を生成し,反応が連鎖的に続く場合がある ことである。
反応性の高い窒素(活性窒素 RNS)である一酸化窒素 NO・ と反応し,ペルオキシナイトライト peroxynitrate ONOO- を生成する(2I)。
鉄イオン Fe2+ と反応し,ヒドロキシルラジカルを生成する(sI)。
ROS は脂肪細胞の分化を促進するという報告が多いようである。
体内の ROS に比べて,食品中の ROS と病気の関係はあまり明らかになっていない(3I)。つまり,ROS を多く含む食品を食べたときの影響については,未知の点が多い。
> 摂取した ROS が膵臓 β 細胞を破壊し,I 型糖尿病を引き起こすことが報告されている(3I)。
: 鉄イオンは ROS と反応するため,鉄のサプリメントの有害性も指摘されている。
> 粉状の protein drink mix は,水に溶かした際に過酸化水素を生じることを示した論文(3R)。
: ルミノール反応で過酸化水素を検出。最初の 5 分が最も量が多く,1 時間後にはかなり減衰する。
: カタラーゼを添加すると,ほとんど ROS は検出されなくなる。
: アスコルビン酸は,過酸化水素の産生につながる恐れがあり,推奨されないようである。