10-30-2016 updated
アルツハイマー病 Alzheimer's disease の診断は,原則としてマニュアルを使った認知機能のテストに基づく。よく使われているマニュアルに,ADAS-cog および FAQ がある。
ADAS-cog
Alzheimer's disease assessment scale-cognitive subscale の略で,認知機能を評価するために一般的に用いられている方法である(1I)。日本語版の ADAS-Jcog もある。
もともとは Rosen et al. (4) に基づくもののようである。実際には,40 のチェック項目を作って,それに基づいてアルツハイマー病と対照群の人を検査すると,病気を統計的に検出できるということが示されている。
FAQ: Functional activities questionnaire
FAQ も認知症診断テストの一種だが,ADAS-cog よりも実用的で,実際に一人で生活していける能力があるかどうかを診断することに重きを置いている。
このほかに MRI や PET などのイメージングが診断に用いられている。重要なことは,多くの脳疾患が認知機能の低下に先んじて現れる ことである。
> PET で診断する低グルコース代謝は,将来の ADAS-cog および FAQ スコアの低下を予測できる(1)。
構造式は Lecanu et al. 2004a (文献2)から転載。
SP222 は 22R-hydroxycholesterol で,もともと脳に存在するステロイドの一種である。Pregnenolone 生合成の中間体で,アミロイドβ による神経破壊を抑制する作用がある。
しかし,この物質の代謝は早いので,安定に存在するカプロスピノール caprospinol (SP233)がより有効と考えられた。
散発性アルツハイマー病のモデルである FAB rat で,以下のような caprospinol の効果が報告されている(3)。Aβ42 に結合して,その重合を阻害することによると考えられる。
記憶の改善(Morris water-maze task),アミロイドプラーク量の低下,神経分解の低下,Tauリン酸化の低下。