てんかん epilepsy は,全人口の約 1% で発症する神経系の異常である(2)。患者の 40% は,現在の治療法ではその痙攣 seizure をコントロールすることができないため,有効な治療法の確立が強く望まれている。
側頭葉てんかん temporal lobe epilepsy (TLE) は,側頭葉 temporal lobe の異常が原因で起こるてんかんであり,薬が効かないてんかんでよくみられるタイプである(2)。
TLE の 40 - 65% は,側頭葉だけでなく海馬 hippocampus にも異常(とくに硬化 sclerosis)が認められる(2)。これは MTLE (medial temporal lobe epilepsy) とも呼ばれる。なお,Temporal lobe は大脳皮質の一部(表面のみ)であるが,medial temporal lobe と言った場合には内側の構造(海馬, 脳幹 brainstem, amygdala を含む)も含まれる。脳の構造も参照のこと。
てんかんによる痙攣は,脳 brain で高周波の活動電位 action potential が発生することによる(1)。つまり,脳の神経細胞 neuron が同調して発火するということ。
> TLE では,temporal lobe における ATP 産生の低下が認められる(2)。
治療のため切除された側頭葉や海馬を解析すると,40-65% の症例で海馬の硬化 sclerosis が発見される。このてんかんと hippocampal sclerosis の関係が報告されてから 2 世紀が経つが,未だに原因か結果かわからない(2)。
有効な治療薬が限られているため,未だに temporal lobe や海馬 hippocampus の切除が行われている(2)。
Clare et al. 2000a (Review). Voltage-gated sodium channel as therapeutic targets. Drug Discov Today 5, 506-520.