7-4-2015 updated
関連項目
統合失調症でみられる変化
統合失調症では,前頭葉 prefrontal cortex(PFC: human, rat)で脳の血流 cerebral blood flow(CBF)が低下する現象がよくみられる。 最初の報告は Invar and Franzen (1974) で(1),この現象を表す言葉として hypofrontality という言葉が使われた。
現在では,hypofrontality は血流のみでなく,グルコース代謝の低下など,PFC 領域の全体的な機能低下を示す概念として認識されている。 詳細は hypofrontality のページ でまとめる。
PFC 領域の血流については,低下する/しないという両方の報告がある。麻酔をしない状態では実験中にもいろいろと考えているため,その状況によって血流が変化する。これが,実験結果の不一致を生み出す一因と考えられている(3I)。
> 17 人の病状初期の患者(薬の投与なし)で,PFC の血流を PET により調べた論文(2R)。
: Broadmann area 8, 6, 46 で血流の低下がみられた。
: Area 46 は working memomry task,8 は front eye field, 6はmotor area。
: Occipital/parietal association cortices では血流が増大していた。
: 1997 年の論文で,PFC全体を比較するよりも,細かく分ける方がよいと主張。今考えれば当然か。
: 個々の領域の up/down よりも,全体の imbalance の変化が重要という観点で議論している。
> 近赤外スペクトルで,ヘモグロビン量から血流の変化を比較した論文(3R)。
: N=14, NIRS (near-infrared spectroscopy), resting/activation hypofrontality. Using drugs.
: Total Hb 量が患者で低く,resting hypofrontality を示している。
: 刺激に伴う酸化 Hb 量の増加具合も患者で低く,これが activation hypofrontality を示している。
> PFC の血流が低下し,視床 thalamus, 小脳 cerebellum で血流が増大する(4R)。
: PET での測定。統合失調症初期の患者(5D)でも,約 10 年症状がある患者でも同じ傾向。
> 統合失調症患者の兄弟で,continuous performance test (CPT) と fMRI を行った研究がある(4R)。
: 注意力などをテストする CPT では差がなかったが,BOLD には差がみられた。
: 両方の区で,認識や行動に関する領域で BOLD シグナルが増大した。
: 最も大きな違いは left insula でみられ,間違った答えをしたときに患者の兄弟で活性化が顕著。