11-2-2014 updated
脳梁 corpus callosum とは,左右の半球で大脳皮質 cortex の相同な部位を繋ぐ神経繊維の束である(2)。つまり,たとえば左半球の神経 neuron が長い軸索 axon を右半球まで延ばして投射しており,その軸索部分が束になっているもののことをいう。ヒトでは 170-190 millions もの線維から成る(2)。
左右半球間の情報伝達は,日常生活に必要な脳 brain の活動において非常に重要な役割を果たしている(2)。脳梁は,その情報伝達を担う主要な神経繊維の束である。
Wikipedia から転載。
Scalable brain atlas(4)のラットの脳梁。青い部分のスライスが右図である。灰白質 gray matter の下を通っている様子がよく分かる。
まだ整理しきれていないので,とりあえず列挙。
> 霊長類では,相同でない大脳皮質間にも神経の投射がある(2)。
> 神経は興奮,抑制の両方の作用を示す(2)。
脳梁を構成する細胞は形態が異なっており,均質ではないと考えられる(2)。GABAergic neuro が多いのが一般的な特徴である。
> ネコでは主に large pyramical cell であり,GABAergic neuron は検出されない(1)。
: ただし,nonpyramidal cell の存在も報告されている。
> ラットでは,発生初期には多くの GABAergic neuron があるが,後期にはほぼ消失する(1)。
: Juvenile rat では,GABAergic neuron は約1% と見積もられている。
> 脳梁の axon は,通常 layers 2/3 and 5 から出て,逆半球の 1-3 と 5 に投射する(3I)。
> 初期に軸索が投射先に達したあとに,神経の発火 firing を必要とする phase がある(3I)。
: これは,神経の発生で一般的に受け入れられている現象である。
> 脳梁の発生は比較的ゆっくりと進む(2)。
: ヒトでは妊娠 10-11 週目あたりから線維が見られるが,ミエリン化は思春期まで進行する。
: ネコでは比較的早く, 1-3 ヶ月齢で完成する。
: げっ歯類では PD15 で完成するが,ミエリン化は成体になるまで進行する。
統合失調症 schizophrenia の患者では,CC の形態に異常が認められることがある。
> CCの終端 splenium が36-45歳で,CC anterior midbody area が18-25 歳で小さくなっていた(1R)。