1-29-2014 updated
他の領域から入ってくる感覚情報を処理し,情動的な行動のための文脈情報を生み出す部位。嗅覚以外の感覚情報は視床 thalamus を通ることが知られている。insular cortex は視床からの投射をうける。
右の図は Wikipedia から転載。
"The insular cortex has been associated with the integration of sensory phenomena ... at an early stage of cortical processing" (1I).
Researcher
> 感覚情報の処理なので,例えば何かを見て行動を決めるような場合に活性化する(4D)。
: Task engaging selective visual attention, high level of sustained attention.
統合失調症では insular cortex の機能不全がよく報告されている。萎縮,血流低下,グルコース代謝低下という報告が多いようである。
統合失調症 schizophrenia の患者では,insula に形態異常がみられるという報告が多い。
> 統合失調症患者で体積が減少(1I)。
> Drug-naive first episode patients, left insular cortical surface area と容積が減少(1I)。
> Left insular cortex, inferior frontal gyrus (BA 44), cortex in the precentral gyrus が薄い(2R)。
: 右半球では有意差はなかった。
また,薬で上記の変化に改善がみられるとする報告もある。
> 患者と対照群では insular cortex の形態・容積に差はなかった(1R)。患者は薬を服用している。
: 患者の中では,症状が重いほど右側の insular cortex の容積が小さかった。
: 左側は有意でなかった。
: 薬の影響の指標 dose year と insular volume が相関。薬が効いて大きさが回復していると解釈。
統合失調症の患者で,insular の血流が低下するという報告が多い。
> PET で,right insula における血流の低下が観察されている(3R)。
> うつ病 depression の患者で血流低下。photon emission computed tomography による観察(1I)。
: この領域は,統合失調症だけでなく他の精神疾患とも関係していると考えられる。
> FDG-PET でヒトの代謝を比較した論文がある。対照群,長期の患者,短期の患者で比較している(6R)。
: 対照群 > 患者: visual cortex, insula
: 患者 > 対照群: motor area, bilateral inferior temporal area, cerebellum.
: 長期患者 > 短期患者: motor, inferior temporal area, pallidum/putamen, cerebellum.
: 短期患者 > 長期患者: insula, bilateral dorsolateral PFC, anterior cingulate.
: 患者は haloperidol を使用。motor, cerebellum の高代謝はこの薬のせいだろうと考察している。
Researcher
Domasio and Carvalho は,感情の主体は脳幹 brainstem であり,insula はその感情の認識やさらに上のレベルへの理解に重要であると考えている(4)。
> Insula が感情を司る唯一の部位であると主張されたこともあったが,以下の理由から誤りと思われる(4)。
: Brainstem の神経核 nucleus も,高度な感情を作り出すことが可能である。
: 大脳皮質がない状態で生まれてくる子供も,感情によると思われる行動を示す。
: Insular が傷害を受けても,感情がなくなることはない。