7-9-2017 Last update
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関連項目
細胞内の油滴 lipid droplet は,比較的最近になってオルガネラとして認識された構造体である。中性脂質のトリアシルグリセロール TAG やコレステリルエステル CE を中心部にもち(疎水性コア),表面はリン脂質とタンパク質に覆われている。
以下のような理由から,油滴は小胞体 endoplasmic reticulum, ER によって作られると考えられている。作られた油滴は,脂肪酸を代謝できるミトコンドリアやペルオキシソームの近くに局在する。
> 酵母では,小胞体膜と油滴の膜は繋がっていることが膜タンパク質の組成から示唆されている(1)。
> 動物細胞では,油滴が大きくなると小胞体から出芽する。両者のタンパク質組成は異なっている(1)。
> 脂質合成 lipogenesis の最終段階を触媒する酵素は ER に局在する(1)。
油滴 lipid droplet の大きさは,当然のことながら細胞の状態によって異なる。以下のような観察結果を総合すると,生細胞での LD の大きさの最小値は光学顕微鏡の解像度限界以下である と予想される(2)。In vitro の油滴形成モデルからの知見も生かされている。
> Oleic acid loaded rat 3Y1 fibroblast を BODIPY 染色すると,油滴の直径は約 1 µm(2)。
: 200 - 300 nm ぐらいのものが最小サイズ。
> 電顕では,直径 50 nm の油滴が観察されている(2)。
> 1H-NMRで,直径 25 nm のものがあることが示されているが,これには議論がある(2)。
> In vitro model, atomic force microscopy: 平均して直径 50 nm, 高さ 15 nm の wax ester globules(2)。
容積に関する報告もある。
> Epididymal adipose tissue of ApoE KO mice and LpLKO mice. 2500 - 3000 µm2(4).
> カイコ Bombyx mori pheromone gland で,羽化 eclosion 前後の LD size を測定した論文(3)。
: 羽化前には 2 - 7 µm の小さい油滴が少しある。羽化に向けて大きく(5 - 12 µm)なる。
: 直径は 12 - 14 µm の油滴が extra large LD と表現されている。