> TOR シグナルが低下すると,カロリー制限と同様に発酵から呼吸への代謝シフトが起こる(2)。
> TOR1 の変異による長寿は,sch9 の不活性化による(4R)
: TOR1 mutant と,TOR1/Sch9 double mutant は寿命が変わらない。
: Sch9 が TOR 経路の直接の標的であることとよく一致する。
>TOR1, Sch9, Ras2 による寿命制御は,どれもキナーゼ Rim15 を介する(4D)。
: Rim15 は,ストレス応答性遺伝子を転写する転写因子 Msn2/4, Gis1 を正に制御する。
>TOR1, Sch9, Ras2 の変異体は,どれも TCA回路などミトコンドリア遺伝子の発現が低い(4R)。
: 解糖,発酵に関連する遺伝子の発現は増大。糖新生は変わらず。マイクロアレイ。
: グリセロール glycerol 合成系の遺伝子の発現も増大。
: ただし,TOR1 mutant ではミトコンドリアの呼吸が増大しているという報告もある。
文献 4 より転載。酵母では,カロリー制限は TOR シグナルに仲介されて寿命を延ばすと考えられている。
> Knockdown of LET-363/CeTOR in adult life more than doubled the life span of worm (4I).
> Similarly, a reduced activity of Daf-15 promotes life span extension (4I).
: Daf-15 is the worm ortholog of the mammalian mTOR-interacting protein raptor.
> CeTOR のノックダウンとカロリー制限 CR の寿命延長効果は重ならない(4I)。
> Overexpression of DN-dTOR or TOR-inhibitory dTsc1/2 proteins leads to longevity (4I).
> Rapamycin を食べさせても寿命が延長する(3)。
> Rapamycin 投与で,マウスの寿命が9-14%延長する(1)。
: ただし,インスリン抵抗性や血糖値の上昇を引き起こし,2 型糖尿病のリスクも上がる。
: Rapamycin は薬としても使われるが,認可されている量は寿命延長に必要な量の1/10以下である。
内容が増えてきたら,試薬の項目に独自のページを作ります。
Rapamycin は最初にその抗菌活性を指標に発見されたが,のちに T 細胞の分裂を抑制する作用があることが明らかになった(5, 6)。Rapamycin には以下のような活性があることが知られている。
逆に,これらは TOR を通じて制御されている生命現象であるとも言える。
mTOR は PI3K-related kinase family に属するセリン/スレオニンキナーゼで,他のタンパク質と mTORC1 および mTORC2 という複合体を作る。これらは機能が異なっており,mTORC1 はタンパク質および脂質の合成,リボソームの合成,リソソームの合成などを促進する。mTORC1 は rapamycin によって強く阻害される。
mTORC2 の rapamycin sensitivity は,細胞の種類によって異なる。胸腺,腎臓,胃などの mTORC2 は rapamycin で全く阻害されない(7)。
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