ニューロンに関係する構造
電気生理関連
神経系
神経細胞 neuron or nerve cell は,情報処理と情報伝達に特化した多細胞動物に特有の細胞である。下の図(4)のように,
から構成される。
樹状突起は他のニューロンから情報を受け取る役割(入力)を,軸索は他の細胞に情報を伝える役割(出力)を果たす。軸索の末端と樹状突起の間には,シナプス synapse と呼ばれる隙間がある。
円口類以外の脊椎動物では,軸索は髄鞘(ミエリン鞘 myelin sheath)と呼ばれる絶縁体で覆われている。髄鞘には一定の間隔でランビエ絞輪 node of Ranvier と呼ばれる隙間がある。電気信号はここを跳躍伝導 saltatory conduction によって伝わっていく。
機能に応じて,以下の3種類に分類される。
> 介在ニューロンには多くの種類が存在し,マーカー分子の発現と投射様式で分類されている。
: パルブアルブミン parvalbumin (PV) を発現する PV neuron が約25%を占める(1)。
髄鞘に覆われたものを有髄神経,覆われていないものを無髄神経という。
> 有随神経では,跳躍伝導 saltatory conduction によって信号が伝わる。これは無随神経の伝達より速い。
> 体内の状況をモニターする神経の多くは無随神経である(2)。
: たとえば,迷走神経 vagus nerve の80%はミエリン鞘がなく,残りの20%も少ない。
最も一般的なニューロンの形態は,右図(Wiki 錐体細胞)に示すような錐体細胞 pyramidal neuron である。
大脳皮質 cortex および海馬 hippocampus の主要な神経細胞であり,上記の模式図に示されたような軸索や樹状突起をもつ。
ニューロンはシナプス synapse から神経伝達物質を放出する。その種類によって分類することもできる。
などが有名である。
この「作動性」という言葉はよく混乱のもととなるが,「放出」の意味である。つまり Glutamatergic neuron はグルタミン酸を放出するニューロンである。
なお,一般に Glutamatergic neuron は興奮性,GABAergic neuron は抑制性であるとされる。これは,神経伝達物質を受け取ったニューロンの膜電位 membrane potential が脱分極の方向へ向かうか,過分極の方向へ向かうかを表している。(単純に言うと,興奮性の神経伝達は活動電位 action potential を発生させる方向に働く)
神経伝達物質の種類によっては,興奮および抑制が受容体によって決定される場合がある。たとえばドーパミンには複数の受容体があり,D1 受容体は興奮性の刺激を,D2 受容体 は抑制性の刺激を伝える。
神経系 nervous system は,
The system of cells and tissues in multicellular animals by which information is conveyed between sensory cells and organs and effectors (such as muscles and glands)
と定義されている(5)。
ニューロンの活動を電極で記録する場合,細胞内記録と細胞外記録の2つの方法がある(3)。
細胞内記録は,細いガラス電極を細胞に差し込んで細胞内電位を測るもので,以下のような特徴がある(3)。
細胞外記録は,脳組織に金属の電極を差し込む。特徴は
細胞外記録では,電極とニューロンの位置関係により LFP の振幅や波形が変化する。LFP からスパイク応答を検出する方法は spike sorting と呼ばれ,数理上の興味深い問題である(3)。