11-22-2013 updated
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オスの Sprague-Dawley ラットを,しばらく通常の餌(chow)で飼育してから,脂質と糖質を多く含む高エネルギー食に切り替えると,約半数が肥満を呈するが,残りは痩せたままである。前者を DIO (diet-induced obesity) rat,後者を DR (diet-resistant) rat という(1I)。
複数の遺伝子が原因であることが示唆されており,またヒトでも同じような現象がみられることから,自然な肥満モデルとして着目されている。これらを選抜育種によって系統化したのが,obese prone/resistant CD rat であり,これは Charles-River から販売されている。
> この現象は,3ヶ月齢以下のラットではみられない(1I)。
> Fisher F-344 など,他の系統ではみられない(1I)。
> 通常の餌(chow)で飼育した場合にも,この現象はみられない(1I)。
> 離乳後 postweaning にすぐに high energy diet に切り替えた場合には,この現象はみられない(2I)。
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> DR は DIO に比べてやや餌の摂取量が少ないが,そうでないとする報告もある。少なくとも大きな違いはない(1I)。
> DIO はとくに過食を示すわけではない(1I)。
> 5世代選抜育種した DIO/DR rat についての論文がある。OP-CD rat に関する論文としても解釈できる(2)。
: 高エネルギー食の摂取量,同化効率ともに DIO rat の方が高い。
: 選抜育種すると,chow diet のみで飼育した場合でも体重その他に差が出るようになる。
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> DIO は高インスリン血症 hyperinsulinemia, インスリン抵抗性,pancreatic sympathetic activityの低下を示す(1I)。
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> DIO では,dorsomedial hypothalamic nucleus や median eminence のドーパミンの回転が遅くなっている(1I)。
> 視床下部 hypothalamus の神経核 VMN (ventromedial hypothalamic nucleus) でアドレナリン受容体異常(1I)。
> グルコース静脈注射によって交感神経からNEが血中に放出されるが,その量がDIOのが多い(1I)。
: 両者が chow diet で飼育されているとき(体重差なし)から,NE量に差が出る。
: DIO が肥満を呈してからも,グルコース注射後の血中NE量は高く保たれる。
> DIO では,視床下部の神経核 VMN でグルコース代謝が低い(1)。
: VMN は一般に満腹中枢と呼ばれる部位で,食欲を抑制する。DIOが肥満になる原因の一つかもしれない。
> グルコース代謝に違いがみられない部位は以下の通り(1)。
MAN (medial amygdalar nucleus), ABL (basolateral amygdalar nucleus), GC (gustatory portion of insular cortex), VPM (parvicellular portion of ventroposteromedial nucleus of thalamus), SmI (first somatosensory cortex).