5-31-2014 updated
哺乳類 AMPKの活性サブユニット(α subunit)に相当する AAK-1 と AAK-2がある(1I)。以下のような理由から,哺乳類 AMPK と似た機能をもつと考えられている。
> AAK-2 も AMP:ATP 比が上がると活性化する(1R)。
: 有名なAMPKの基質である SAMS ペプチドをリン酸化できる。
: AMP 存在下でも,リン酸化されていないと活性化しない。
> AAK-1 は寿命と関係ないが,AAK-2 は C. elegans の寿命を正に制御する(1R)。
: aak-2 mutantは寿命が12%短く,aak-2 過剰発現株は13%長寿である。
: 弱いストレスを与えることで寿命が長くなるホルミシス効果にaak-2が必要である。
: aak-2 による寿命制御は,部分的に daf-2 の下流であるが,daf-16 とはパラレルである。
> C. elegans では,AMP:ATP ratioで寿命を予測することが可能である(1R)。
: 老化に伴ってAMP:ATP ratio が下がる。
: 同じ齢の個体を動きを基準に余命の長い群と短い群に分けた場合,AMP:ATP比は前者で高い。
: AMP/ATP = 0.851 * e^(-0.264 * 平均余命) という計算式が成り立つ。
> DAF-16 とともに,いくつかのタイプの DR による寿命延長に必要である(3R)。
: プレート上でバクテリア量を減らす sDR というカロリー制限による寿命延長に必要。
: プレート上で飼育し,peptone の量を減らすことでその増殖を抑えるタイプの DR にも必要。
: DAF-16 もこれらの DR による寿命延長に必要だった。
: aak-2 は DAF-16 の上流で働き,おそらくこれをリン酸化することと関係していると思われる。
> レスベラトロールによる寿命延長に必要(3R)。DAF-16 はこれには不要だった。
> 液体培地でバクテリア量を減らす DR, eat-2 mutant を用いた DR での寿命延長には不要だった(3R)。
> 下図は文献2 から転載。aak-2プロモーターの下流にGFPをつけて発現させている実験。
: ventral cord, neurons, body wall muscle, pharynx, vulva, somatic gonad, excretory cell.
> 神経系で高い発現がみられ,実際に神経 neuron での働きが重要である(2R)。
: aak-2 mutantは行動異常を示すが,神経系でaak-2を発現させるとレスキューされる。