2019/01/13 Last update
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12-8-2013 updated
細胞外に放出されたドーパミン dopamine の再取り込みを行うトランスポーターである。ヒトでは SLC6A3 という遺伝子にコードされる。
ドーパミン作動性神経 dopaminergic neuron に特異的に存在する。
> 黒質 substantia nigra から線条体 striatum にドーパミン神経が投射しており,ここで発現量が高い(2)。
: また,midbrain, striatum, 海馬 hippocampus でも発現が高い(1)。
> 前頭前野皮質 prefrontal cortex は,dopaminergic neuron の重要な投射先だが,ここでの存在量は少ない(1)。
: Prefrontal cortex では,COMT の発現量が高い。
右図およびこの項目の内容は文献1から引用。
DAT1遺伝子は15のエクソンから成り,15番目のエクソンに40 bp の繰り返し配列がある。
この数に 3 - 13 回という多型があり,9 および 10 回がもっとも多い。
10回繰り返しの遺伝子は,9回より発現量が高い。したがって,シナプスからのドーパミンのクリアランスが早いことが予想される。
右図は,何らかの報酬(食事など。ドーパミンの分泌を活性化させる)が期待される際の,線条体 striatum などの活性を調べた実験である。
ヒトがもっている2セットの遺伝子で,繰り返し数が 9回/9回(9R)または 9回/10回(9/10R)のヒトは,10回/10回(10R)のヒトよりも caudate nucleus や striatum における fMRI シグナルが強いことがわかる。
これは,報酬に対する期待の度合いが遺伝子型によって変わる可能性を示している。
「報酬に対する期待の強さ」とは,たとえば美味しそうな食べ物を目の前にしたときに,それを食べるかどうかの判断と関係する。また,薬物やアルコール異存にも報酬系が関係している。
したがって,遺伝子型が過食症やアルコール依存症のリスクと関係する可能性がある。
Main effect of DAT1 genotype during anticipation of reward with maximal uncertainty. (Top) Statistical maps showing BOLD fMRI responses in the bilateral caudate nuclei. More robust BOLD response was observed in 9-repeat carriers (including DAT1 9-repeat and 9/10) compared to 10-repeat individuals during reward anticipation. (Bottom) Statistical maps showing BOLD fMRI responses in the bilateral ventral striatum. Again, 9-repeat carriers exhibited higher BOLD response than 10-repeat individuals.