> ドーパミンが D2R に結合すると,活動電位を 抑制 する(3I)。
: K+ channel を活性化し,神経細胞の過分極を引き起こすため。
: そのため,D2R antagonist の投与直後には,神経は活性化する(firing rate, burst firing)。
: しかし,21 日間などの長期投与は,むしろドーパミン作動性ニューロンを抑制する。
: これは depolarization block という現象で,神経が hyperexcited な状態になっているためである。
線条体 striatum のD2R量が低いと,肥満 obesity になる傾向がヒトと齧歯類で知られている。これは食欲と関係していると考えられるが,線条体でドーパミンシグナルが弱まっていることがどのように食欲を増進するかは不明である(2D)。
> 肥満モデル Zucker rat では,1 および 4ヶ月齢で線条体の D2R 量が低い(3R)。
ドーパミンD2受容体の分布は,アゴニスト[11C] racloprideを使ったPETで調べることができる(1I, 2R)。
ラクロプリド raclopride は右のような構造をもつドーパミン拮抗薬で,D2R に結合する。そのため,PET で結合量を測定することで,D2R 量を見積もることが可能である。
この方法は,in vivo での測定が可能であることがメリットであるが,内在のドーパミン量が変化した場合に raclopride の結合量も変わってしまうというデメリットがある。
また,raclopride は D2R と D3R の両方に結合する(2D)こともデメリットの一つであり,in vivo 測定の結果は解釈が難しい。
そのため,文献3などでは他の拮抗薬を用いた brain slice のオートラジオグラフィーを同時に行い,内在性ドーパミンの影響を除いた結果も得ている。