DAF-16 (C. elegans ortholog of FoxO)

2018/12/05 Last update

 

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  1. 概要: DAF-16とは
  2. インスリン様シグナルとの関係
  3. カロリー制限との関係

関連項目



概要: DAF-16とは

C. elegans の寿命は多くの遺伝子の変異により変化するが,その多くは DAF-16 を必要とする。


インスリン様シグナルとの関係


C. elegans では,daf-2 遺伝子(インスリン/IGF受容体をコード)の変異体は寿命が長くなることがよく知られている(4R)。この長寿表現型には DAF-16 が必要である(daf-2 & daf-16 double mutant は寿命が長くない; 文献5)ことから,DAF-16 と寿命の関係が盛んに研究されるようになった。

> daf-2 変異体では,さまざまな組織で DAF-16 の核への蓄積がみられる(2I)。

> age-1 変異体では27℃にするとやや核に局在する。完全に核局在しなくても dauer へ移行できる(7)。

 

> daf-2, daf-16 double mutantの一部の組織で DAF-16 を発現させ,寿命への影響を調べた報告(2R)。

: 神経では 5-20% 程度回復。予想外に短かったのでいろいろ検討したが,やっぱりそうだった。

: 一番回復したのは腸(脂肪組織)で,50-60%。

: ただし,dauer formationへの寄与が最も大きいのは神経 neuron だった。

 

> DAF-16:GFP fusion protein を C. elegans で発現させ,ストレスによる局在変化を調べた論文(7R)。

: DAF-16:GFP はほぼ全身,とくに神経系で強く発現する。Functional であることも確認されている。

: DAF-16:GFP を過剰発現すると成長が遅くなる。逆に,DAF-16 をノックダウンすると成長が早い。

: DAF-16:GFP を発現させると,寿命とストレス耐性が増大する。

: 飢餓,熱ストレス,酸化ストレスで DAF-16:GFP は核へ移行する。UV 処理ではなぜか移行しない。


カロリー制限との関係


C. elegans では,少なくとも以下の8種類のカロリー制限 dietary restriction 法がある(6I)。

  

  • eat-2 という遺伝子の変異で,餌を食べる能力が低下して結果的に DR になる。
  • Liquid culture において餌の濃度を下げる方法 x 2 種類。
  • DR のような表現型を引き起こす薬品 x 2 種類。
  • 培地上で飼育した際に,ペプトンの量を減らすことでバクテリアの増殖を遅くする。それを食べる C. elegans も DR になる。
  • プレート上に全くバクテリアをおかない(dietary deprivation, DD)。
  • プレート上でバクテリア量を段階的減らす。107 - 1013/mL の範囲で幅広く (solid DR, sDR) 。

 

このなかで DAF-16 の果たす役割は実は小さく,sDR による寿命延長にしか必要でない(6I)。他の文献からの関連する記述は以下の通り。

 

> DAF-16 は IISの低下に伴う寿命延長には必要だが,DRによる寿命の延長に必要ではない(1)。

 

Drosophila でも FoxO は DR に伴う寿命延長に必要ではない(6I)。哺乳類ではまだテストされていない。


 

> Sir2 overexpressionによる寿命延長にはDAF-16が必要(1)。

: 哺乳類でも,Sir2 ortholog SIRT1はFOXO3を直接脱アセチル化して活性を制御する(3R)。

> Germ cellsを取り除くとC. elegansは長寿になるが,このときにintestine DAF-16がはっきり核移行する(1)。

 

> 熱ストレスでもDAF-16は核へ移行する(1)。

 

 

 

 


References

  1. Kenyon 2005a (Review). Cell 120, 449-460.
  2. Libina 2003a. Cell 115, 489-502.
  3. Brunet 2004a. Science 303, 2011-2015.
  4. Kenyon 1993a. Nature 366, 461-464.
  5. Ogg 1997a. Nature 389, 994-999.
  6. Greer & Brunet 2009a. Different dietary restriction regimens extend lifespan by both independent and overlapping genetic pathways in C. elegans. Aging Cell 8, 113-127.
  7. Henderson & Johnson 2001a. daf-16 integrates developmental and environmental inputs to mediate aging in the nematode Caenorhabditis elegans. Curr Biol 11, 1975-1980.