Hydroxy-carboxylic acid (HCA) receptors

7-30-2014 updated

  1. 概要: HCA とは
    1. HCA1
    2. HCA2
    3. HCA3
  2. 発現調節


概要: HCA receptor とは


HCA1, HCA2, HCA3 受容体は,脂肪組織で多く発現する G protein-coupled receptor (GPCR) である(1)。脂肪細胞では,活性化すると antilypolytic に働く(1)。

 

HCA2 がニコチン酸によって活性化することから,かつてはニコチン酸受容体ファミリー,ナイアシン受容体ファミリーと呼ばれたが,ニコチン酸の生体内濃度は低く内在リガンドではないこと,HCA1 および HCA3 はニコチン酸で活性化しないことから,この名称は不適切である(1)。

 

> 3つの受容体はゲノム上にタンデムに並んでおり,遺伝子重複によって生じたと考えられている(1)。

: HCA1, HCA2 は染色体 12q24 に位置する(4I)。

 

HCA1 receptor (GPR81)


乳酸 lactate の受容体で,脂肪細胞では乳酸による cAMP の低下を仲介する。 脳 brain でも発現しており,低血糖時などにおける脳機能の維持に関与していると考えられている。

 

> ヒト,げっ歯類では,白色/褐色脂肪組織に多く発現している(1)。

: 腎臓,骨格筋,肝臓でもわずかに発現。3T3-L1 の分化に伴い発現量が増える。

: ヒトとマウスの脂肪細胞ラインでは,PPARγ アゴニストの投与で発現量が増える。

 

> ヒトでは HCA2 と52%のアミノ酸同一率を示す(2)。 

 

> 2- および 4-hydroxy butyrate もHCA1に結合し,EC50 はそれぞれ 8.5, 15 mM である(1)。

> L-乳酸 の方が D-乳酸よりも親和性が高い(1)。ピルビン酸 pyruvate には結合しない(3D)。

 

HCA2 receptor


GPR109A, HM74A, NIACR1 , PUMA-G, HM746 とも呼ばれる(1)。ニコチン酸 nicotinic acid や 3-ヒドロキシ酪酸(内在性リガンド, 2I)によって活性化され,3つの受容体の中では最もよく研究されている。HCA2, HCA3 の主要な機能は,脂肪細胞における脂肪分解 lipolysis の制御である

 

> HCA1と同様に,ヒト,げっ歯類では白色/褐色脂肪組織に多く発現している(1)。

: 3T3-L1 では,分化や PPARγ アゴニストの投与で発現量が増える。

 

> Monocyte, neutrophils, macrophages, dendritic cells, epidermal Langerhans cells で発現(1)。

: マクロファージおよび keratinocytes では,IFN-γ 処理で発現が増える。

 

> ニコチン酸 nicotinic acid の受容体としても知られている(2)。

: ニコチン酸が結合すると,脂肪分解を阻害し,結果として血中遊離脂肪酸 FFA 量が低下する。

 

> HCA2 の発現は,マウスでは加齢で低下する(4I)。

HCA3 receptor


GPR109B, HM74, NIACR2 とも呼ばれる(1)。HCA2, HCA3 の主要な機能は,脂肪細胞における脂肪分解 lipolysis の制御である。

 

β 酸化の中間体,とくに 3-hydroxy-octanoic acid によって活性化される。

 

> 発現部位は HCA2 と良く似ている(1)。

> ニコチン酸は HCA2 のみを活性化するが,acifran は HCA2 と HCA3 の両方に作用する(1)。

: EC50はそれぞれ 1.9 µM, 90 µM である。


発現制御


脂肪細胞での発現はおそらく HCA1, HCA2 ともにPPARγ の制御を受けており,HCA2 は免疫系との関連もありそうである。

 

> マウス HCA1, HCA2 とも,high fat diet で脂肪組織の mRNA 量が低下する(4R)。

: 脂肪組織での両遺伝子の mRNA 量は,PPAGγ mRNA量と相関していた。

 

> LPS は,HCA2 mRNA を RAW264.7 マクロファージと 3T3-L1 脂肪細胞で増やした(4R)。

: LPS は,どちらの細胞でも HCA1 mRNA の量には影響を及ぼさなかった。

 

> HCA1 は,ヒトとマウスの脂肪細胞ラインで PPARγ アゴニストの投与で発現量が増える(1)。 

> HCA2 は,マクロファージおよび keratinocytes で IFN-γ 処理で発現が増える(1)。


References

  1. Blad et al. 2011a (Review). Biological and pharmacological roles of HCA receptors. Adv Pharmacol 62, 219-250.
  2. Cai et al. 2008a. Role of GPR81 in lactate-mediated reduction of adipose tissue. Biochem Biophys Res Commun 377, 987-991.
  3. Bozzo et al. 2013a. Lactate modulates the activity of primary cortical neurons through a receptor-mediated pathway. PLoS One 8, e71721.
  4. Wanders et al. 2012a. Effects of high fat diet on GPR109A and GPR81 gene expression. Biochem Biophys Res Comn 425, 278-283.