肥満時の脂肪細胞から分泌される炎症性サイトカイン。インスリン抵抗性を引き起こす原因物質であると考えられている。細菌感染動物の血中より発見された腫瘍壊死惹起物質で、主にマクロファージから分泌される。
TNF receptor に結合し、death domain をもつタンパク質を介したシグナル伝達を行う。下流はアポトーシス経路、MAKP family、IKK、NF-kBなど多岐にわたる。
>17 kDa。通常三量体を形成。レセプターは2種類存在し,これも3量体を形成。
> マウスにTNFαを投与すると,脂肪組織での adiponectin の発現が増大する(2D)。
脂質の蓄積を抑制する方向に作用する。
> 脂質の取り込み,合成に関わる分子の発現を下げる; LPL, FAT, FATP, FAS, ACC, GPDHなど。
> 脂質分解 lipolysis を促進する。
In vivo
> 肥満動物モデルでインスリン抵抗性を呈する脂肪組織、骨格筋、心臓で発現が増大している。
> 抗体で作用を中和するとインスリン感受性が上昇する。
> TNF-alphaやそのレセプターを欠損させるとインスリン抵抗性が起こらない。
> II型糖尿病患者でTNF-alphaの作用を中和してもインスリン感受性は回復しない。
脂肪細胞
> TNF-alphaがインスリン抵抗性を引き起こすことは一致した見解となっている。
: insulin-dependentなPI3K活性化の抑制やGLUT4膜移行が阻害される。
: これは活性酸素を補足することで抑制されるので,酸化ストレスを介した作用である。
筋細胞
> インスリンシグナルを抑制するもしくは影響しないという両方の報告があり、一致した見解はない。
> 無脊椎動物で最初の TNF superfamily member である Eiger は,Drosophilaから発見された(3)。
: JNK pathway の上流にあり,アポトーシスを誘導する。中枢神経系で主に発現している。
> Gilthead seabreamの脂肪細胞にヒト・リコンビナントTNFαをかけると lipolysis が起こる(1R)。