パラホルムアルデヒド Paraformaldehyde, PFA

4-25-2017 Last update

 

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  1. 概要
  2. 組織の固定
  3. シックハウス症候群
  4. メタノール飲酒?とホルムアルデヒド

関連項目



概要: パラホルムアルデヒドとは

ホルムアルデヒド formaldehyde は,右図のような単純な構造の化合物であり,これが長く繋がったものがパラホルムアルデヒド paraformaldehyde (PFA) である(1)。

 

C=O の2重結合のひとつが外れ,酸素原子同士で -O(CH2)-O(CH2)-O(CH2)-O- のように繋がっている。

 

いわゆる ortho-, meta-, para-, ipso- のパラとは違うので注意すること。ホルムアルデヒドは刺激臭をもつ無色の有毒気体であるが,PFA は固体である。

 



組織の固定

生化学では,4% パラホルムアルデヒド溶液が染色実験 staining experiment で組織を固定するためによく使われる。

PFA は,外れやすい水素原子が近くにあると脱水縮合を起こす性質をもっている(右図, R1 と R2 は官能基)。1 分子の PFA が図のように 2 つの分子を繋げてしまうわけである。

 

タンパク質では,アミノ末端と塩基性タンパク質の側鎖に存在するアミノ基が架橋される(2)。アミノ基をもたない核酸 nucleic acid,脂質 lipid,糖鎖には影響しない。

 

 

 


固定時間について

一般的には,PFA での固定は必要最小限にしておくのが望ましいとされる。とくに免疫染色の場合,固定時間が長すぎると,抗体によって認識される部位が架橋されてしまいシグナルが低下する恐れがある。


最適な時間はケースバイケースだが,組織の場合は O/N,細胞では 30 分未満が一般的であろう。


  • 骨組織に特徴的な TRAP 活性に関する議論もある(3)。

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References

  1. 有機化学美術館, ホルムアルデヒドの話 (Link).
  2. 蓮井 2012a. 免疫組織化学の基礎と応用. V. 組織・細胞の固定. 鹿児島大学レポジトリ. Link.
  3. BioTechnical フォーラム. PFA での長時間の組織の固定,TRAP 失活. Link