6-10-2014 updated
イギリス英語では Pentobarbitone である。
静脈内投与,腹腔内投与のいずれも可能で,広い範囲の動物種で使用できる(3)。実験動物を麻酔するのにおそらく最も広く用いられている薬品であるが,以下のようなデメリットがあるため使用には注意を要する。
デメリット
> 意識喪失の状態を得る容量が致死量に近い(1)。
: 「麻酔が得られるのは呼吸不全を起こす量に近い用量を投与したときのみ」という表現も(3)。
> 呼吸抑制作用をもつため死亡事故のリスクが高い(1)。
> 心血管系を抑制し,鎮痛作用に乏しい(3)。
これらの特徴から,本剤の単独投与による全身麻酔は不適切と考えられる(1)。安楽死薬としては推奨されている。ほとんどの場合にはペントバルビタールより安全で効果的な薬剤が入手可能である(3)。
> Postsynaptic mechanism で,Gluによる活動電位の上昇を抑制,GABA による阻害を延長させる(2R)。
: GABA, Gly による膜抵抗の低下は,pentobarbital の作用と競合しない。
Kubota et al. (ref 7) より引用。左からペントバルビタール投与前,1.72 ± 0.04 mg/kg/min i.v., 2.52 ± 0.21 mg/kg/min i.v. の Sprague-Dawley rat の脳波 EEG である。
> Propofolよりも,pentobarbitalの方が痛みに伴う Fos の発現を効果的に抑制する(7R)。
> ラット硬膜外に 1 mM で投与しても,アセチルコリン誘導性の痙攣をほとんど抑えない(4R)。
> 何による痙攣かわからないが,硬膜外に 226 mM で投与すると有効という報告がある(4D)。
齧歯類の脳 brain の灌流固定には,ペントバルビタールがよく使われているようである。
亀山 2003a. 位相空間軌跡解析法を用いたマウス脳波及びヒト脳波の研究. 早稲田大学学位論文.