生体に薬物を投与した後の一連の過程を薬物動態 pharmacokinetics (or drug kinetics) という。これは,薬物の吸収 absorption,分布 distribution,代謝 metabolism,および排泄 excretion の 4 つの段階から成ると考えられ,頭文字をとって ADME などとも呼ばれる。
薬物動態学がとっつきにくい理由の一つが,数多くの略号が説明なしに登場することである。まず略号の意味を下の図を使って説明する。下の図は,ある薬物を複数回にわたって投与した際の血中濃度の変化を示した模式図である。Wikipedia 英語版より引用。
AUC
Area under curve の略で,カーブと X 軸の間の面積を示す。単純に言うと,この面積が大きいほど薬剤の有効性 bioavailability が高いことになる。
Cmax
血液濃度の最大値。
tmax
投与してから血液濃度が最大値に達するまでの時間。
t1/2
血中濃度が半分になるまでの時間。どの段階で計算しても同じ値になる。