テトラメチルシラン: TMS, tetramethylsilane

2018/05/15 Last update

 

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  1. 概要: NMR の標準物質
  2. 実際の使用方法

関連項目

核磁気共鳴画像法(MRI)


概要: NMR の標準物質

テトラメチルシランは,右のような構造をもつ化学物質で,NMR の標準物質として使われる(1)。主な理由は以下の通り。

 

  • 12 個の等価 magnetically equivalent な H と 4 個の等価な C をもつため,強いスペクトルが得られる。
  • このスペクトルは,1H NMR でも 13C NMR でも他の分子のスペクトルとほとんど重なることがない。
  • 化学的に反応性に乏しく,かつ揮発性が高いので測定後に用意に除去することができる。

 

 

> NMR は TMS のプロトンの共鳴周波数が切りのいい値になるように作られている(1)。

> 「500 MHzのNMR」とは,TMS の proton が正確に500 MHzで共鳴するような磁場をもつ機械のこと(1)。

> なお,500 MHz は 11.7 T(テスラ,磁束密度の単位Wb/m2)に相当する。


実際の使用方法

> 1% TMS in CCl4を1滴入れるぐらいでちょうどいい。

> 基準物質の添加量は,そのピークが試料ピークより低いぐらいが適正。

> TMS は水に不溶である ため,DSS や TSP-d4 などがかわりに用いられる(1)。どちらも構造は似ている。

: DSS = 4,4-ジメチル4-シラペンタンスルホン酸ナトリウム,(CH3)3-Si-(CH2)3-SO3-Na+

: TSP-d4 = 2,2,3,3-テトラデューテリオ-4,4-ジメチル-4-シラペンタンスルホン酸ナトリウム,

(CH3)3-Si-(CD2)2-COO-Na+

現在は,トリメチルシリルプロパン酸(trimethylsilyl propanoic acid, TMSP, TSP)が水溶液の NMR の標準物質としてよく使われるようである。


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References

  1. Kemp 1986 (Book). NMR in chemistry. Macmillan Publishers Limited, London.