水溶液の NMR 解析で,内部基準物質として使われる物質の一つ。
他によく使われる内部基準物質として,4,4-ジメチル-4-シラペンタン-1-スルホン酸 DSS およびテトラメチルシラン TMS がある。TMS は有機溶媒の NMR で用いられる。
TSP の構造。2,2,3,3-tetradeutero-3-trymethylsilylpropionate とも。
Plasma などタンパク質の多い溶液では,TSP を内部標準に使ってはいけない。タンパク質に結合するため(2)。
水溶液系 NMR の内部標準は,DSS およびこの TSP が汎用されるが,これらはいずれも血漿中でアルブミンに吸着し,信号強度が低下する(1)。またケミカルシフトも変化するので,血漿 NMR の内部標準としては適切でない。
> 具体的には,TSP の信号強度は血漿を希釈して用いると急激に増大する(1)。何かに吸着していると思われる。
: 同様の現象が DSS でも観察された。
: この報告では,ギ酸カルシウムがヒト血漿の内部標準として適当であることを示している。